【資格 受験記】設備設計一級建築士 2021年度(令和3年度)受験

知名度の高い「一級建築士」という資格には、あまり知られていませんが実は上位資格があります。

それが「構造設計一級建築士」と「設備設計一級建築士」という資格です。

設備設計一級建築士」について2021年度(令和3年度)受験しましたので、経験を踏まえて記載します

設備設計一級建築士の資格とは

設備設計一級建築士」は「一級建築士」の上位資格にありますが、あまり知名度がない資格です。

経緯としては、2005年に起きた構造計算書偽装問題をきっかけに約15年前に新設された比較的新しい資格です。

構造と設備の分野は専門性が高い分野であるため、法適合の確認を専門知識のある人が行うよう義務付けたもので、2006年の改正建築士法にて新設されました。

その後、平成20年(2008年)に資格が登録され、「階数3以上床面積合計5,000㎡超え」の設備設計には、この資格者の確認が必要になっており、資格者の確認がないものは建物が建ちません。

ノート

5000㎡超えとは?

例えば・・・百貨店、ルミネ、マルイ、東急ハンズなどの商業施設、イオンモールなどのショッピングモール、72世帯以上のマンション(1住戸70㎡として計算)など。

資格取得者は、2021年(令和3年)1月13日現在、6,066名
その内、資格新設時に取得された方は2,727名

一級建築士が約370,000人なので、比較すると非常に少ない人数です。(61人に1人程度の割合)

※資格取得者は、建築技術教育普及センターのホームページより。

ノート

設備設計一級建築士制度について

平成18年12月改正建築士法により、設備設計一級建築士制度が創設され、一定規模(階数3以上かつ床面積の合計5,000平方メートル超)の建築物の設備設計については、設備設計一級建築士が自ら設計を行うか若しくは設備設計一級建築士に設備関係規定への適合性の確認を受けることが義務付けられました。

この設備関係規定への適合性の確認がなされずに建築基準法に定める建築確認申請が行われた場合には、その建築確認申請書は受理されないこととなっています。

設備設計一級建築士証を申請するには、原則として、一級建築士として5年以上設備設計の業務に従事した後、国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関が行う講習の課程を修了することとされております。

建築技術教育普及センターホームページより抜粋。

設備設計一級建築士の受講資格と取得方法

資格取得手順とスケジュールです。

資格取得手順・スケジュール

6月中旬 受講申し込み

9月下旬 講義受講

11月下旬 修了考査

1月下旬 結果発表・修了証受領・登録

毎年1回、資格取得の機会があります。

詳しい日時は下記、建築技術教育普及センターのホームページをご確認ください。

講義を受けて、考査(試験)を行って、修了証を受領後、登録です。

ちなみに登録(番号の取得とカードサイズの資格証発行)は申請書を作成し郵送後、3ヶ月ほどかかりました。

講習(講義と修了考査)の受講資格は、一級建築士5年以上、下記の業務に従事した方です。
申込み時に実務経歴を記載する必要があります。

業務経験として認められる業務

①設備設計の業務

②確認審査等の業務    

③建築設備士として従事する建築設備に関する業務

④確認審査等の補助業務

⑤工事監理の業務

⑥消防同意の審査に関する業務

※②、④~⑥は建築設備に関するものに限ります。

受講申込区分が4種あります。基本は「申込区分Ⅰ」です。「申込区分Ⅱ~Ⅳ」は講習の一部を免除できる場合です。

また、2022年(令和4年)からは紙ではなく、基本インターネットから受講申込の受付に変更されています。

受講申込区分 4種

(1) 申込区分Ⅰ (全科目受講)

講習の全科目を受講する場合の申込区分で、「一級建築士」が対象となります。

(2) 申込区分Ⅱ (法適合確認のみ受講)

昨年、一昨年の修了考査で「設計製図」に合格した方で「設計製図」を免除する方。

(3) 申込区分Ⅲ (設計製図のみ受講)

昨年、一昨年の修了考査で「法適合確認」に合格した方で「法適合確認」を免除する方。

(4) 申込区分Ⅳ (建築設備士資格者)

「一級建築士」であり、かつ「建築設備士」の資格を有する方が、「設計製図」を免除する方。

受講手数料

(1)申込区分Ⅰ(全科目受講)

66,000 円 (うち消費税 6,000 円)

(2)申込区分Ⅱ(法適合確認のみ受講)

44,000 円 (うち消費税 4,000 円)

(3)申込区分Ⅲ(設計製図のみ受講)

55,000 円 (うち消費税 5,000 円)

(4)申込区分Ⅳ(建築設備士資格者)

44,000 円 (うち消費税 4,000 円)

※他に、ネット受付事務手数料が必要です。

設備設計一級建築士の講義、修了考査経験談

講習は、配布されるテキスト(1,000ページほどある)を使用した3日間の講義1日の修了考査の構成により実施します。

講習(講義と考査のスケジュール)

講義 

会場受講かWeb受講か申込み時に選べました。
 会場:9月下旬の連続した3日間。
 Web:9月下旬から2週間の期間内に視聴。

第1日
10:00~12:00 (2時間) 建築設備関係法令
13:00~14:00 (1時間) 建築設備設計総論
14:00~18:00 (4時間) 法適合確認

第2日
10:00~12:00 (2時間) 電気設備の設計技術
13:00~15:00 (2時間) 電気設備の設計技術
15:00~18:00 (3時間) 空調・換気設備の設計技術

第3日
10:00~11:00 (1時間) 空調・換気設備の設計技術
11:00~12:00 (1時間) 給排水衛生設備の設計技術
13:00~16:00 (3時間) 給排水衛生設備の設計技術
16:00~18:00 (2時間) 輸送設備の設計技術

修了考査

11月第3週目の日曜日

10:00~12:00 (2時間) 法適合確認
13:15~17:15 (4時間) 設計製図

詳しい日時は下記、建築技術教育普及センターのホームページをご確認ください。

講義について

テキストは講義日の直前に郵送で届きます。

このテキストは資料を貼り付ける等は不可ですが、文字の書き込みが可能で、修了考査に持ち込みができます

講義は「会場での受講」と「Webでの受講」のどちらかを選択できます。

コロナの影響があった時期であったため、私はwebで受講しました。

講義はテキストの内容を画面の中の講師と一緒に読み合わせていく流れです。

この講義の中で修了考査(試験)に出る大事な部分1日目、4時間の「法適合確認」です。

設備の種類は、空調・換気給排水衛生電気輸送設備4種類です。

修了考査について

修了考査は「法適合確認」と「設計製図」の2種類あります。2種類両方合格すると無事に修了証がもらえます。

1種類のみ合格の場合は、修了証はもらえません。次回また試験が必要です。

次回と次々回までは上述した申込区分ⅢかⅣで合格した方の講習を免除できます。

修了考査は共通してテキストの持ち込みが可能です。

「法適合確認」

設備それぞれ5問ずつ、合計20問が出ます。解答用紙はA2で1枚、全て記述です。マークシートではありません。

問題の内容としては、「図」や「文章」を読んで「不適合な箇所を指摘」し「不適合な理由」を記述します。

法適合確認の解答手順

問題文をしっかり読む。

不適合な箇所を見つける。

不適合な理由を調べる。計算する。

解答を記述。

2時間(120分)しかないため、時間配分が大事な試験です。

テキスト持ち込み可なので一級建築士の「法規」の試験に似ていますが、解答方法が違います。
マークシートではなく、全て記述です。

単純計算で120分÷20問=6分/問なので、見直しとか余裕なしで1問あたり6分です。

解答用紙の記述欄は3行あり、60文字程度記載するスペースがあります。

記述は不適合な理由をしっかりと記述しないと合格できないといった経験をお持ちの方が多数見受けられます。

〇〇が不適合。」という理由の記述ではなく、
△△における△△の〇〇は、□□×□□+□□=□□であるため、○○では不適合。」など、
計算結果などをしっかり示すような記述が必要です。

「設計製図」

解答用紙はA2で2枚あります。1枚は共通問題として記述と計算問題。

1枚は各設備の設計と図面作成、計算問題があります。

各設備空調・換気給排水衛生電気の3種から1種類を選択する選択問題です。

過去問を比較し、共通で良く出る内容を分析研究し、テキストに記載して準備します。

まとめ

取得までに時間を要する資格です。

受験資格で一級建築士で5年以上なので受験できる人が限られています。

一級建築士の試験では建築全般の一般的な幅広い知識が必要ですが、設備設計一級建築士の試験では、さらに専門的な内容で設備設計4種類の幅広い知識必要になります。

しかし、現状取得者が少ない(6000人程度)ので希少価値の高い資格です。

※2022年8月情報なので、最新情報はご確認ください。

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